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Scard Guitar Shop
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MAKING SCARD GUITARS +

Scard Detailing

Scardの基本コンセプトについてご説明させて頂きます。

※現在はオリジナルモデルの準備中となります。

Scardのご紹介には

Scardをご紹介させて頂くには、その主な仕様や製作方法に加え、エイジド加工とその音に対する製作者の見解も交えてご説明させて頂く必要があるかと思います。

エイジド加工を試みながらそのサウンドを変化を体感してきた個人的な感覚を織り交ぜながらScardのご紹介をさせて頂きます。

Scard Guitar について

木材からのネック製作に始まり、オールラッカー塗装、ハンドワイヤリング・ピックアップ、トータルでのエイジド加工でサウンドを作り上げる”Scard”。

全ての工程を職人一人の手作業でサウンドにこだわりを持って製作しています。エイジド加工もサウンドメイキングの方法として施工。時間をかけて一本と向き合い、納得行くサウンドが鳴り響いた時点で完成を迎えるハンドメイド・エイジド・ギター、それが”Scard”です。

SCAR × sounD = SCARD

傷の音。傷(scar)と、音(Sound)を掛け合わせた造語として、Scardと名付けました。

常にエイジド加工による音の追求を続けていますが、そこから得られた結果を反映し続け、より良いものを目指し一本一本製作しています。

エイジド加工って?

エイジド加工とは、使い古したようなルックスに仕上げる加工です。Scardでは音を作り込むためにエイジド加工を施していますが、やはりルックス面もギターの重要な要素であると考えていますので、ボロくも美しいといった理想を目指し、サウンド面、ルックス面の両方でアプローチしながらエイジド加工を施しています。

エイジド加工で音は変わるのか

店頭でもよく頂く質問です。製作をはじめ追求し続け、何度も体感してきましたのでハッキリお答えできますが、エイジド加工で音は変わります。

ボディ、ネックの塗装や木部にエイジド加工を施す、あるいはパーツにエイジド加工を施すなど、エイジド加工を加えることで確実に音は変わります。なぜ変わるのかと考えると、加工を加える前と後では、全く同じものではなくなっているからと言えるかもしれません。

パーツで考えてみると?

例えば、サドルをスチールのプレスサドルからダイキャストのブロックサドルに交換した場合、あるいはもっと極端にピックアップを交換した場合など、パーツを交換した場合のギターのサウンドの変化はご想像も容易かと思います。

しかしエイジド加工は加工を加えるだけで、パーツ自体の交換はしていないと考えると、そんな程度では音は変わらないと思われるのも当然かと思います。

しかしながら、実際は状態が変わっています。状態が変わることで、加工を加える前と後では全く同じものではなくなります。全く同じものではないという点だけを考えれば、パーツを交換した場合と変わりありません。つまり状態が変わるだけでも、音は変わると考えられます。

状態の変化?

エイジド加工で状態が変わるというのはお分かり頂けるかと思いますが、エイジド加工は行わずに日常的に経年劣化が進む場合を考えてみるともう少し分かりやすくなるかもしれません。

例えば、『ギターを置いておいて金属パーツがくすんだ』という場合は、状態の変化が少ないのでサウンド的な影響もかなり少ないと思います。

では、新品のギターをしばらく弾いて『音の角が取れた』という表現をよく耳にしますが、この場合はどうでしょう。これは個人的に、弾くことでフレットが削れたり、指板に手汗が染み込んだりと主に指板上に状態の変化が起きたことが要因の一つと考えています。フレットは常に弦と擦れているので、他のパーツに比べれば最も早く状態が変化するパーツだと思います。フレットを変えていなくても、少しずつ削れて状態が変化していくことで、『音の角が取れた』と感じるのではないかと考えています。

もっと極端な例は、弦です。弦もパーツと考えれば、その状態の変化はお財布に優しくないレベルで身にしみるのではないでしょうか。同じ弦でも新品の時と古くなってきた時とでは音が違うと思います。

これらはある意味自然なエイジド加工と言えると思います。変化には大小ありますがこのようにパーツはそのままでも、その状態が変化することで音が変わっていくのだと思います。

ボディとネックは?音の変化具合は?

ボディやネックもギターのパーツと考えれば上記に当てはまります。塗装を剥がすだけでも、その度合いによって変化に差は生じますが、厳密にはやはり音は変わります。

状態の変化具合の大小によって音の変化具合にも差が生じますので音の変化の大小はあります。そしてその音の変化具合は、パーツ交換のそれに比べれば小さいものと言えると思います。

だからこそボディ、ネックも含めギターを構成するほぼ全てのパーツにエイジド加工とサウンド加工を施し、トータルでの音の変化として結果を生み出す必要があります。では、エイジド加工でどのように音が変わるのでしょうか。

余計な鳴りが減っていく

Scard製作においては、エイジド加工を施していくとその度合いで差がありますが、ある程度までは加工をすればするほど余計な鳴りが減って行きます。

余計な鳴りとは主にボワンとした心地よくない響きです。この余計な鳴りが減っていくことで、スッキリした鳴り方へと変わっていきます。

余計な鳴り?

例えば同じ声量で会話をする場合、電車が行き交う駅のホームと静かな部屋とでは、相手の声の聞こえ方が全く違うはずです。余計な鳴りを減らすのは、この静かな部屋を作るようなものだと思います。

本来ギターにおいて聞こえてほしい音の芯や倍音は、実際出ていないのではなく、ボワンとした余計な鳴りに掻き消されて聞こえにくい部分も大きいと思います。余計な鳴りを減らすことで、音の芯と倍音を聞こえやすくするイメージです。

しかしながら、エイジド加工である程度音を変えることは可能ですが、エイジド加工だけでは魅力的なヴィンテージギターの音には決してならないと思います。では、エイジド加工にできるサウンド面の加工とは結局何なのでしょうか。

余計な鳴りを無くすこと

現時点では、エイジド加工に可能なサウンド面への加工は、『余計な鳴りを無くすこと』に尽きると考えています。

イメージを言い換えると『余計な響きを止める』ことになります。もしかしたらそれ以上のことはエイジド加工ではできないかもしれません。

しかし、ヴィンテージギターは同様に余計な鳴りが少ないと感じているので、エイジド加工により余計な鳴りを無くすことができれば十分な気もします。

ですが、エイジド加工の方法やそれに伴うサウンド加工でまだまだたどり着いてない部分はたくさんあると思いますので、現時点でのこの答えを踏まえつつ、この先も追求を続けていきます。

足し算ではなく、引き算

まとめて考えると、エイジド加工におけるサウンドへのアプローチは少なくとも足し算ではなく、引き算であると思います。

はじめは足すことばかり考えていましたが、どうもしっくりこず追求していくと実は引き算であると気付きました。

そしてその先でさらにサウンド加工も可能なことに気付き、現時点では次の答えを元にScardを製作しています。

引いて、広げる

エイジド加工で余計な鳴りを無くし、さらにサウンド加工でそのスッキリした鳴りをできるだけ広げる方向に調整しています。

実際に行う加工を結果的に考えると、サウンド加工では主に表面積が広がっていて、それにより振動が増していると考えています。

しかしただ単に増しているのではなく、その振動は複雑に増していることが重要だと思っています。それはほんのわずかかもしれませんが、これも全てのパーツにトータルで施すことで良い結果を生み出せると考えています。Scard製作におけるサウンド加工も含めたエイジド加工でのサウンドアプローチは、一言で表すと『引いて、広げる』ことで成り立っています。

どんなギターでもエイジド加工で良くなる?

今度はこの問題に行き着きます。どんなギターでもフルでエイジド加工を施せば、余計な鳴りを無くしていくことは可能だと思います。が、そのギターの本来聞こえてほしい音の芯と倍音が良い音かどうかは別の話です。

つまりせっかく音の芯と倍音がスッキリ聞こえやすくなったとしても、その音自体が良くなければそれまでなのです。良いヴィンテージギターは、やはりそもそも最初から音が良いのだと思います。では理想の音に近づいていくにはどうしたらいいのでしょうか。

木材から一貫して作り上げる

当初はエイジド加工のみで音を作り上げて行こうと追求し進んでいましたが、エイジド加工によるサウンド面へのアプローチの答えがある程度見えた時から、特にネックにおいては木材の選定からはじめ、イチから作り上げていくしかないと考えるようになりました。

Scard-OWLDNOTE-シリーズは、こうした流れでハンドメイド・エイジド・ギターとして製作されています。

木材選定

主にタップトーンを基準に、ネックシャフト材、指板材、ボディ材の組み合わせを選定し、一本分の木材を揃えます。選定と言いましても鳴りが良い、イマイチといったことではなく、その木材に合った組み合わせで製作するような選定を心掛けています。

ギター製作に適さないであろうと思う木材を使ってまで数を作ろうとは思っていませんので、自分の中の一定の基準をクリアした木材のみを少量ながらも仕入れてストックしています。その中から一本分の組み合わせを考慮している感じになります。

ネック製作について

基本的に木材は、ローステッドメイプルとローズウッド指板(ラウンドボード)の組み合わせです。ネックは手作業によりグリップとタップトーンを確かめながら少しずつ削り出していきますが、基本的には太めでありながらも握り心地が良いグリップに仕上げています。

ネック製作は木材の切り出しから、トラスロッド仕込み、指板貼り、グリップ整形、フレット打ちなど、最終のペーパー掛けによる仕上げまで、非常に時間と手間のかかる工程です。

ローステッドメイプル?

ローステッドメイプルは、簡単にいうと熱処理などの特殊処理を加えることで余分な水分を除去し、硬く安定した軽い材に加工したメイプル材です。ネックに加工した後も反りなどの狂いが少なく、安定したネックを狙えます。

そのメリットも大きいですが、タップトーンでも比較的カンカンッと高くレスポンスの良い材が多いので、サウンド面でも良い感じのネックを狙うことが容易になります。

ヴィンテージに近い材とも言えるかもしれませんが、個人的にはローステッドメイプルの音が特徴的に存在するように感じますので、そこを活かしたネック製作を心がけています。

ローズウッドにも色々あるけど?

Scard製作において主に使用するローズウッドは、マダガスカルローズウッド、ホンジュラスローズウッド、インディアンローズウッド、ブラジリアンローズウッド(ハカランダ)のいずれかで、あまり多くはありませんが手持ちのストックの中から選定の際に組み合わせとして良さそうなものを選択し使用しています。

同じ種類でも材によって違いはありますが、大まかにそれぞれのローズウッドでその特性や音質に違いがあるように感じます。

トラスロッドと指板、フレットについて

ネック製作の工程の一部について、トラスロッドはコンプレッションタイプのエンド締め仕様で仕込んでいます。指板は7.25Rラウンド貼りです。

フレット溝は指板アールに合わせてタングの長さほどで浅く切り、フレット溝に余計な隙間を作らないことで左手押弦からの振動をよりダイレクトでピュアな響きにできるよう心掛けています。

また、フレットは基本的にJescar-50085を使用します。ヴィンテージのオリジナルフレットに比べ少し幅が広く高さがあるフレットで音質的にも優れているように感じています。

ネックの音は重要?

ギターにおいては『ネックが大事』とよくいろんなところで耳にしますが、個人的に私もその通りだと思っています。

組み合わせの相性もあると思いますが、ネックそのものの音はそのギターの音を決定づける最も重要なファクターではないかと考えています。

ボディは重要ではない?

ボディはネックに比べその割合は低いかもしれませんが、重要ではないという訳ではありません。ボディについてもネックの木材同様に個人的な一定の基準をクリアしたものを仕入れ、ストックの中から選択して使用しています。

ネックは塗装前の木地の段階からその音がすでに重要ですが、ボディはどちらかというと塗装後のエイジド加工の段階を最も重要に考えています。

ボディ製作について

基本的に木材は、センター2ピースのアルダーもしくはアッシュで製作しています。

大型の機械等は使用できる環境にないため、ルーター等の小型のツールと手作業により削り出して最終的に成形していきます。重さはその個体差により違いますが、組み合わせにより選択して製作しています。

ボディのエイジド具合?

そのギターの音の方向性を大きく定められるのが、ボディのエイジド具合になります。

ネックの音を基準としてそこから大まかに、ボディの傷を少なめにすれば艶やかでキレイな響きに、ボディに大きく塗装が剥がれた部分を作れば枯れつつもガツンと唸るような響きになる傾向があります。

ギターとして完成後に感じることが多いのですが、ルックスがサウンドに直結しているような感覚になります。このギターはこんな音がしそうだというルックスからの情報が、概ねサウンドとリンクしているように思います。そしてそのルックスからの情報の大半はボディのエイジド具合が締めています。

塗装について

全ての木工加工を終え、塗装の下地処理を施したボディ、ネックは塗装の工程へ入ります。目止め、下地塗装、カラー層塗装、クリアー層塗装と段階を踏み、オール・ニトロセルロース・ラッカーで仕上げます。

塗装と塗装の間に研磨の工程も挟むので乾燥期間も合わせると時間を必要とする工程です。アルダーでサンバーストを製作する際は塗装の前に木地の脱色(ブリーチ)を行っています。

ニトロセルロースラッカー?

Scardの製作には、その風合いやサウンドの面からもニトロセルロースラッカー塗装が必須となっています。ラッカー塗装だったら全て良しという訳ではなく、やはり塗装方法と塗膜の厚みの具合が重要だと思います。

塗膜は一旦は導管も埋まった平坦な表面を作る必要があり、それをエイジドしていくことで完全な平坦では無くしていくのがベストだと思います。

塗膜の厚さは?

塗膜は表面の平坦性を確保できる状態でできるだけ薄くできる厚さを基準に作っています。メタリック下地にキャンディ系の塗装などシースルーを重ねていくパターンの場合は少し厚めになりますが、それぞれエイジド加工が問題なく施工できる厚さの基準内に収めて塗装を行っています。

塗膜は薄すぎても厚すぎても、または全く塗装をしないのもサウンド面では良い結果を生まないと考えています。

ピックアップについて

ピックアップは、ハンドワイヤリングで製作しています。Formvar、Enamelのコイルワイヤーはモデルによって使い分け、基本的にマグネットはアルニコVで製作、エイジド加工を施して完成となります。

巻くテンションを比較的緩めにしている以外は、基本的にヴィンテージの仕様を目指していますが、ポールピース周りのサウンド加工等エイジド加工時にサウンド的な工夫を加えています。

ピックアップの特徴は?

ピックアップの音の特徴としてはクリアでフラットな音の印象です。どこかの帯域に特化している訳ではないように感じますので、ハイ、ミドル、ローまで平均的にクリアに出てくるイメージです。音の立ち上がりと抜けは良い感じで、弦を弾いた感覚がダイレクトにアンプから出てくる感覚が強いと思います。

Scard製作においてはピックアップで音を作りこめている訳ではなく、ピックアップはあくまでギターの音をそのまま出力するようなクリアなマイクといったイメージが近いと思います。

抵抗値はどのモデルもおおよそヴィンテージに近い値で仕上げていますが、使用するアルニコVや着磁方法の特徴もあり少しパワーがあるイメージかもしれません。

ただパワー感も本体の個体差で全く違う印象になることもあるので、その辺りはやはり本体の音を優先しあくまでクリアなマイクという考え方で製作しています。

エイジド加工について

次の工程へ進める程度乾燥が完了したボディ、ネックは、エイジド加工へ入ります。Scardでは、エイジド加工を大きく4つの工程に分けて行なっており、サウンドとの兼ね合いも大きいため、最も時間が必要な工程でもあります。

Scardの一番特徴でもあるエイジド加工は、サウンド、ルックス、全体的なバランスと全てに神経をとがらす重要な工程です。ウェザーチェックは、モデルにより横方向、縦方向中心のいずれかで施工しています。

ウェザーチェック?

ウェザーチェックは塗装のひび割れのようなものです。Scardではボディに対して横方向中心、縦方向中心のいずれかで施工しています。どちらも比較的細かい間隔のウェザーチェックの再現を目指し施工しています。

ウェザーチェックを施すことにより塗膜が均一でなくなり、微々たるものかもしれませんが振動が複雑なものへと変わると考えています。消される振動も生まれることによってよりピュアな振動へと変わり、サウンド面への影響もあると考えています。

舗装された平坦な道よりでこぼこな道の方が歩きづらいように、ある程度振動を制限するようなイメージかもしれません。

4つの工程?

ボディ、ネックのエイジド加工については主に、①塗装の剥がれや傷、②木部の調整、③塗装面ウェザーチェック、④全体的な仕上げになります。全体的な仕上げのイメージは、よく見かけるツヤを完全に荒く簡単に消してしまう方法ではなく、ツヤが曇ったようなイメージに仕上げています。

くすんだような印象もありながらも、底光りするようなツヤが残っていることでルックス的には美しく仕上がると考えています。ボロいがゆえに、できるだけ美しく仕上げることをこだわりとして心掛けています。

パーツ類の加工について

パーツ類は組み込む前にポット、スイッチ、ジャックといった電装パーツを除く全てにエイジド加工とサウンド加工を施しています。

プラスチックパーツはもちろんネジ一本に至るまで全てのパーツに加工を施すため、細かい作業となりますがサウンド的に効果がハッキリと出てくるので、集中を要する工程となります。

パーツ類の個体差は少ないと感じているので、概ね決まった方法で組み込む前に加工を施しておくことが可能です。

金属パーツは錆びてても大丈夫?

金属パーツはエイジド加工で表面だけにある程度サビを加えていますが、さらにもうひと手間加えることでそのサビを落ち着かせると同時に潤滑性も有利にする加工を施しています。

それによりデザイン的にも汚くは見えない落ち着いた錆び、機能的には問題なく使える程度のエイジドパーツを目指し製作しています。

サーキット配線

ピックアップやポット類を配線し、アッセンブリーを組み上げます。コントロール関係は信頼性のある新品パーツで構成します。

基本的には、CTS 250A POT、CRL 5way Switch、Switchcraft Jack、ヴィンテージ配線材、ヴィンテージハンダ、ヴィンテージコンデンサー(ヴィンテージの配線材、ハンダ、コンデンサはモデルによりストックから選択)のスペックとなります。

ヴィンテージ材?

配線材、はんだ、コンデンサーは基本的に1930年代〜1960年代頃のものを、手持ちのストックの中からセレクトして使用しています。これら3点はヴィンテージ材の方が随分優れているように感じます。

各モデルによって基本的なセットを用意していますが、場合によっては最終的な出音を聴いてセレクトを変更する場合もあります。Scardにおいてはギターとしての出音をエイジド加工以外で調整する唯一の方法かもしれません。

この点はまだまだ追求が浅いので、この先エイジド加工と並行して追求して行こうと考えています。

ナット製作、組み上げ

ナットは基本的に無漂白のボーンナットで製作しています。ナット製作の後、フレットすり合わせ、仕上げ、パーツ類組み上げという工程へ進みます。

いよいよアンプから音が出せる工程なので作業の手も軽くなる工程です。現在では木工からエイジド加工までの段階である程度出音が予測できるようになりましたので、出音を確認するのはこの段階で十分となりました。

サウンドに調整が必要な場合はこの時点で確認し、またバラしてエイジド加工具合を調整し組み上げるという流れを繰り返すことで理想のサウンドに近づけて行きます。

ナットと音の関係、テンション

ナットはサウンド面から無漂白のボーンナットを選択しています。またナットの底面は指板のR同様に7.25Rのカーブドボトムとなっています。ナットの素材自体も音に関係しますが、重要なのは溝の深さ具合による弦のテンション感の調整だと思います。

テンションは弦の張力具合です。同じ弦、同じチューニングでも弦のテンションはギターによって違うと思います。テンションは様々な要因が複雑に絡み合って決まっていると考えています。

例えば全く関係ないと思うような箇所にエイジド加工を加えてもテンションが微妙に変化することがあります。そして弦のテンションはサウンドにも弾き心地にも直結しているとても重要なポイントだと思います。

全体調整

ナット溝、弦高、スプリング、ネックなど細かく調整していき、必要であれば補正も加え、合わせて適度に弾いて鳴らすことでギターを落ち着かせます。

落ち着くと完成だと思える瞬間が感覚的にくるので、それまでは調整しては鳴らすを繰り返します。

良いギターとは?

組み上げてからは、主に上記のテンションに違和感のないポイントを探し調整していきます。最近ではほぼ生鳴りだけで感触を確かめています。

個人的に最も良いと感じるテンションの状態は、ギターはドンと構えたまさに不動の舞台で、弦だけがその上で自由に踊る感覚、そして弦の弾き心地がなんだかゴムのように感じる絶妙な柔らかさがある状態だと思います。

まるで弦だけが交換可能なパーツと感じるほど、ギターのパーツが完全に一つになってギターと成っている感覚が理想です。

その状態だと弾いている時に弦以外のパーツに意識が行かないので、例えばピックアップを変えてみようかなという演奏以外のことに意識が行かず、ただただ弾いた響きに包まれた状態で演奏に集中できます。それにより創造力も刺激され結果的に良い演奏、良い音楽を生み出せる可能性が高くなる気がします。

良い楽器とは、そのように弾き手に寄り添い一体となれる魅力があり、Scardもそうあれるよう可能な限り理想を形にすることを目標に一本一本製作しています。

最後に

これら全ての工程をHUKUROW-GUITARS店主でもある職人が一人で行っており、店舗運営における全ての作業も兼ねているため製作はごく僅かとなってしまいますが、その分、目の前の一本とどこまでも向き合いこだわりを持って製作しております。そして、今後も音探しの旅を歩み続けます。

※2022年夏より、新たにオリジナルギターの製作に挑戦させて頂くこととさせて頂きました。エイジド加工によるサウンドメイクの更なる探求をメインに、自分なりの理想を込めたモデルを目指したいと思います。当面の間は開発期間とさせて頂き、完成次第ホームページにてご案内の上、営業の再開とさせて頂きます。

何卒よろしくお願い申し上げます。